証券、商品先物取引業株の特徴

日本株の33業種

証券、商品先物取引業とは、主に証券会社や商品先物取引を取り扱う企業のことを指します。

株価が上がったり、投資意欲が高まったりすると、証券会社の取引手数料や資産運用サービスからの収益が増えます。一方で、不況や市場低迷時には取引量が減って業績が落ち込みやすくなります。

景気敏感株セクターといえます。

証券、商品先物取引業の為替変動の影響

円高の影響

  1. 収益への直接的影響
    証券会社や商品先物取引業者の海外での収益は、円高により円換算で減少する傾向があります。特に、海外子会社や支店からの利益が減少する可能性があります。
  2. 取引量への影響
    円高は輸出企業の業績に悪影響を与えるため、これらの企業の株式取引量が減少し、証券会社の手数料収入が減少する可能性があります。
  3. 投資家心理への影響
    円高は日本経済全体にネガティブな影響を与えると捉えられがちで、投資家のリスク回避姿勢が強まり、株式市場全体の取引量が減少する可能性があります。

円安の影響

  1. 収益の円換算増加
    海外での収益が円換算で増加するため、証券会社や商品先物取引業者の業績にプラスの影響を与える可能性があります。
  2. 輸出関連企業の株式取引増加
    円安は輸出企業の業績改善につながるため、これらの企業の株式取引が活発化し、証券会社の手数料収入が増加する可能性があります。
  3. 外国人投資家の日本株投資増加
    円安により日本株が割安に見える可能性があり、外国人投資家の日本株投資が増加する傾向があります。これにより、証券会社の取引量が増加する可能性があります。
  4. 商品先物取引への影響
    円安は輸入品の価格上昇につながるため、特に原油や穀物などの商品先物取引が活発化する可能性があります。

注意点

  • 為替感応度の変化
    過去1年間のTOPIXの為替感応度は1円の円安で+0.3%前後となっており、以前よりも低下しています。これは、企業の為替リスクヘッジ策の進展や、現地生産比率の上昇などが要因と考えられます。
  • マクロ経済環境の重要性
    為替変動の影響は、その時点での経済環境や市場の状況によって大きく異なります。例えば、米国経済が好調な中での円高は、日本株式市場への大きなマイナス影響を与えにくい傾向があります。
  • 企業の個別要因
    証券会社や商品先物取引業者の海外展開の程度、顧客層、取り扱う商品やサービスの種類によって、為替変動の影響は大きく異なります。

日本を代表する証券、商品先物取引企業10社

野村ホールディングス

  • 概要: 日本最大の証券会社。国内外で幅広い金融サービスを展開しています。
  • 特徴: 投資銀行業務、資産運用、リテール事業など、多角的な事業展開が強みです。
  • https://www.nomuraholdings.com/jp/top.html

大和証券グループ本社

  • 概要: 国内大手証券グループ。リテール、ホールセール、投資部門を持っています。
  • 特徴: 個人投資家向けのリテール事業と、法人向けホールセール事業のバランスが取れています。
  • https://www.daiwa-grp.jp/

SBIホールディングス

  • 概要: オンライン証券を核に、金融サービス全般を提供しています。
  • 特徴: フィンテック分野に強く、暗号資産事業など、革新的なサービスを展開しています。
  • https://www.sbigroup.co.jp/

松井証券

  • 概要: 老舗のネット証券会社として個人投資家を主な顧客としています。
  • 特徴: 顧客サポートを重視し、個別株の信用取引を中心に展開しています。
  • https://www.matsui.co.jp/company/

FPG

  • 概要: 不動産、航空機、船舶を中心としたリース・投資事業を行っています。
  • 特徴: オペレーティングリース事業を主軸に、独自のビジネスモデルを展開しています。
  • https://www.fpg.jp/

マネックスグループ

  • 概要: インターネット証券会社。暗号資産取引サービスも提供しています。
  • 特徴: 先進的なオンライン取引ツールと、グローバルな事業展開が特徴です。
  • https://www.monexgroup.jp/jp/index.html

岡三証券グループ

  • 概要: 対面営業を重視する中堅証券会社です。
  • 特徴: 地域に根差した営業活動と、顧客との信頼関係を重視しています。
  • https://www.okasan.jp/

東海東京フィナンシャル・ホールディングス

  • 概要: 東海地方を基盤とする証券グループです。
  • 特徴: 地域金融機関との連携を強化し、地域密着型のサービスを展開しています。
  • https://www.tokaitokyo-fh.jp/

ジャフコ グループ

  • 概要: ベンチャーキャピタル事業を主軸としています。
  • 特徴: 国内外のスタートアップ企業への投資と育成に強みを持っています。
  • https://www.jafco.co.jp/

GMOフィナンシャルホールディングス

  • 概要: FX取引を中心に、オンライン金融サービスを提供しています。
  • 特徴: 高度な取引ツールと競争力の高い取引条件が強みです。
  • https://www.gmofh.com/

証券、商品先物取引業セクターの5年間のチャート推移

日本取引所グループの業種別 証券、商品先物取引業セクターの5年チャートを見てみましょう。

2020年のコロナショック時には、他のセクターと同様に急落しました。

2020年末から2021年初頭にかけての緩やかな上昇は、日本銀行の金融緩和政策や政府の経済対策(例:給付金や補助金)が市場に一定の安心感を与えた可能性があります。

2022年初頭のやや下落は、ロシア・ウクライナ紛争の開始(2022年2月)によるエネルギー価格高騰やサプライチェーンの混乱が影響した可能性があります。証券・先物取引業セクターはこうしたマクロ経済イベントに敏感です。

2023年後半から2024年7月にかけて、株価は顕著な上昇を見せています。この上昇は、日本の株式市場全体が活況を呈した時期と一致します。2023年は日経平均株価が長らく続いた低迷から脱却し、30,000円を超える水準に回復した年であり、投資家心理の改善が背景にあったと考えられます。

2024年の利上げによるショック後、証券・商品先物取引業セクターが急回復した主な理由は、市場の適応、円安再開、個人消費・インバウンド需要の回復、グローバル投資トレンド、そして政策の透明性による安心感の向上が挙げられます。

まとめ

証券・商品先物取引業は、市場が低迷すると取引量が減少し、収益が落ち込む傾向があります。例えば、日経平均がレンジ相場を下抜けするような局面では、株価下落と配当維持への懸念が同時に高まる可能性があります。

市場が好調な年(例えば日経平均が上昇トレンドの時)は利益が急増し、配当性向が低く見える一方、市場が低迷すると利益が減少し、配当を維持しようとすると配当性向が跳ね上がります。

  • 例: 野村ホールディングスや大和証券グループ本社は、コロナ禍の2020年やリーマンショック後の2009年など、市場環境が悪化した時期に利益が圧迫され、配当性向が変動した実績があります。

具体例:野村と大和の配当性向の推移

過去10年間(2015年~2025年)のデータを基に、配当性向のぶれを確認してみましょう。

  • 野村ホールディングス
    • 2016年3月期: 利益減少で配当性向約70%(減配したが配当維持努力)
    • 2021年3月期: 利益急増で配当性向約20%(増配)
    • 2023年3月期: 利益減で配当性向約50%(減配)
    • 傾向: 配当性向が20%~70%と幅広く変動。
  • 大和証券グループ本社
    • 2019年3月期: 利益減で配当性向約60%(減配)
    • 2021年3月期: 利益増で配当性向約30%(増配)
    • 2024年3月期: 利益好調で配当性向約40%(増配)
    • 傾向: 配当性向が30%~60%程度で推移し、野村ほどではないがブレあり。

比較対象: 電力セクターでは配当性向が安定して20~40%程度に収まるのに対し、証券セクターは市場環境で大きく上下します。

相場自体が加熱し過ぎている時に、高配当株として投資する場合、相場は上下をするものなので、将来の減配リスクを負うことにになるところは注意が必要です。

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