その他金融業株の特徴

日本株の33業種

その他金融業とは、リース、保証、不動産関連、カード事業など幅広い金融サービスを提供する企業を指します。

消費者金融やリース業は、景気が良い時には個人や企業の資金需要が増え、収益が伸びやすい傾向があります。一方で、景気後退時には貸し倒れリスクが高まり、業績が悪化しやすい面もあります。

その他金融業の為替変動の影響

円高の影響

  1. 外貨建て資産の価値減少
    円高になると、外貨建て資産の日本円換算額が減少します。これにより、金融機関の評価損が発生する可能性があります。
  2. 輸入コストの低下
    円高は輸入コストを削減するため、輸入関連業務を行う金融機関にはプラスとなります。
  3. 国内需要の減少
    円高で輸出企業の収益が悪化すると、企業からの借り入れ需要が減少する可能性があります。これが金融機関の貸出業務に影響を与えることがあります。
  4. 外貨預金への影響
    外貨預金では、円高により為替差損が発生する可能性があります。ただし、実際に引き出さない限り評価損に留まります。

円安の影響

  1. 外貨建て資産の価値増加
    円安になると外貨建て資産の日本円換算額が増加し、評価益を得ることができます。
  2. 輸出企業への恩恵
    円安は輸出企業の業績を向上させるため、これら企業への融資や投資を行う金融機関にとってはプラス要因です。
  3. リスクアセットの膨張
    円安によって海外資産やリスクアセットが膨張し、金融機関の資本余力に悪影響を与える場合があります。例えば、大手銀行では10円の円安でリスクアセットが数兆円規模で膨張する試算もあります。
  4. 外貨預金への影響
    外貨預金では、円安時に為替差益が得られるため、投資家には有利な状況となります。

まとめ

  • 円高は主に輸入関連業務やコスト削減に有利ですが、外貨建て資産や輸出関連業務にはマイナス。
  • 円安は外貨建て資産や輸出関連業務に有利ですが、リスクアセット増加などで金融機関に負担をかける可能性があります。

為替変動による影響は金融機関ごとの事業構造やリスク管理体制によって異なるため、一概には言えません。

日本を代表するその他金融業セクター8社

オリックス

  • 概要: リース事業を祖業とし、金融、不動産、環境エネルギー、航空、事業投資など多角的な事業を展開する総合金融サービス企業です。
  • 特徴: 多岐にわたる事業ポートフォリオを持ち、国内外で幅広い金融サービスを提供しています。M&Aや事業投資を通じて成長を続けています。
  • https://www.orix.co.jp/grp/company/ir/

東京センチュリー

  • 概要: リース、オートリース、ファイナンス、不動産など幅広い金融サービスを提供する企業です。
  • 特徴: NTTグループ、日本生命保険との連携を強化し、国内外で事業展開しています。航空機リース、不動産、環境エネルギー分野にも注力しています。
  • https://www.tokyocentury.co.jp/jp/

三菱HCキャピタル

  • 概要: リース、ファイナンス、レンタル、不動産など、幅広い金融サービスを提供する総合リース会社です。
  • 特徴: 三菱UFJフィナンシャル・グループと日立製作所の連携を背景に、国内外で多様な顧客基盤を持っています。航空、海運、エネルギー分野に強みを持っています。
  • https://www.mitsubishi-hc-capital.com/

芙蓉総合リース

  • 概要: リース、ファイナンス、不動産、環境エネルギーなど、幅広い分野で事業を展開する総合リース会社です。
  • 特徴: みずほフィナンシャルグループと連携し、国内外で多様な顧客基盤を持っています。航空機リース、不動産、環境エネルギー分野に強みを持っています。
  • https://www.fgl.co.jp/

クレディセゾン

  • 概要: クレジットカード事業、リース・割賦事業、金融サービス事業などを展開する総合金融会社です。
  • 特徴: 「セゾンカード」ブランドで知られ、多様な金融サービスを提供。ポイントプログラムや提携カードにも強みを持っています。
  • https://corporate.saisoncard.co.jp/

アコム

  • 概要: 消費者金融事業を主力とし、国内外で金融サービスを提供する企業です。
  • 特徴: 三菱UFJフィナンシャル・グループの一員であり、消費者金融事業で高いシェアを持つ。海外展開も積極的に行っています。
  • https://www.acom.co.jp/corp/

全国保証

  • 概要: 住宅ローン信用保証事業を主力とする企業です。
  • 特徴: 住宅ローン保証で高いシェアを持ち、金融機関と連携して住宅取得を支援しています。
  • https://www.zenkoku.co.jp/

みずほリース

  • 概要: リース、ファイナンス、不動産、環境エネルギーなど、幅広い分野で事業を展開する総合リース会社です。
  • 特徴: みずほフィナンシャルグループと連携し、国内外で多様な顧客基盤を持つ。航空機リース、不動産、環境エネルギー分野に強みを持っています。
  • https://www.mizuho-ls.co.jp/ja/index.html

その他金融業セクターの5年間のチャート推移

日本取引所グループの業種別 その他金融業セクターの5年チャートを見てみましょう。

2020年のコロナショックは、世界経済に大きな打撃を与えました。日本でも緊急事態宣言が発出され、企業活動や個人消費が急減。消費者金融やリース業など「その他金融業」セクターは、貸し倒れリスクや資金需要の減少で株価が圧迫された可能性があり株価は急落しました。

2021年から2023年は、日銀のマイナス金利政策が継続し、低金利環境が資金調達コストを抑え、セクター全体の業績を支えたと考えられ、コロナ禍からの経済回復が進み、企業活動や個人消費が再開したこともあり株価はじわじわ回復しました。

ロシアとウクライナの戦争の影響は、日本企業はロシアとの直接的な取引依存度が欧州ほど高くないため、影響は限定的だったと考えられます。特に「その他金融業」セクターは、ロシアとの直接的なエクスポージャーが少ない企業が多く、株価は比較的早期に回復した可能性があります。

2024年から2025年は、日銀が長年のマイナス金利政策を見直し、2023年7月に利上げを示唆したこともあり、2024年に入り、金利上昇期待が高まり、金融セクター全体が注目されました。「その他金融業」でも、リース会社や消費者金融が金利上昇による収益改善を期待され、株価が押し上げられた可能性があります。

まとめ

その他金融業は、景気敏感株でもあり消費者金融(アコム、アイフルなど)は景気後退時の貸し倒れリスクに注意が必要です。

オリックスや東京センチュリーのような企業は、リース事業に加えて再生可能エネルギーや不動産投資など多角化が進んでおり、景気変動への耐性が比較的強いです。

その他金融業セクターの全体の配当利回りは、2025年3月時点で 約3.0%~3.5% と推定されます。オリックス(4%前後)のような高配当銘柄がセクター平均を押し上げる一方、消費者金融(1%~3%)が平均を下げる要因となっています。TOPIX平均(2%~2.5%)よりも高く、高配当投資の対象として魅力的なセクターです。

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