機械セクターとは金属加工セクターと違い、金属を加工(鍛造、プレス、打ち抜き、圧延成形など)するだけではなく、複雑なプロセスを経て、多くの場合組み立て工程が必要な企業のことをさします。
例としては、工作機械、産業機械、精密機器などです。
機械製品における為替変動の影響
円安の影響
- 輸出競争力の向上:円安により、日本の機械製品の海外での価格競争力が向上します。これにより、輸出企業の受注増加や利益拡大が期待できます。
- 海外事業の収益増加:海外子会社の利益が円換算で増加し、連結決算の業績改善に寄与します。
- コスト上昇:原材料やエネルギーの輸入コストが上昇し、製造コストを押し上げる可能性があります。これは特に中小製造業に大きな影響を与えます。
円高の影響
- 輸出競争力の低下:円高は日本製品の海外価格を相対的に高くし、機械セクターの輸出企業の競争力を低下させる可能性があります。
- 利益率の圧迫:海外での売上が円換算で目減りするため、利益率が圧迫されます。
- 原材料コストの低下:輸入原材料のコストが下がり、製造コストの削減につながる可能性があります。
具体的な影響
- 1990年から2010年にかけて、円の価値が10%上昇すると機械輸出が6%減少するという影響がありました。
- 2010年以降、機械輸出全体、特に対アジア諸国への輸出における為替レートの影響は軽減されています。
日本の代表的な機械セクターの企業7社
株式会社小松製作所 (コマツ)
- 概要: 建設機械、鉱山機械、ユーティリティ(小型機械)などの製造・販売を行う、世界的にも有名な企業です。
- 特徴: グローバルに事業を展開し、高い技術力とブランド力を持っています。建設・鉱山機械分野で世界トップクラスのシェアです。
- https://www.komatsu.jp/ja
株式会社クボタ
- 概要: 農業機械、建設機械、エンジン、環境関連製品などを製造・販売しています。
- 特徴: 農業機械分野で国内トップシェアを誇り、海外展開も積極的に進めています。水関連の環境エンジニアリングにも力を入れています。
- https://www.kubota.co.jp/
株式会社三菱重工業
- 概要: エネルギー、プラント、社会インフラ、航空宇宙、防衛など、幅広い分野で事業を展開する総合重機メーカーです。
- 特徴: 高い技術力と総合力を持ち、大規模プロジェクトを多数手がけています。多様な事業ポートフォリオで、安定した収益基盤を持っています。
- https://www.mhi.com/jp
株式会社IHI
- 概要: エネルギー・プラント、社会基盤・海洋、航空宇宙、産業システム・汎用機械の4つの事業領域を中心に展開する総合エンジニアリング企業です。
- 特徴: 多岐にわたる産業機械分野において、高い技術力があります。航空エンジンにも力を入れており、世界的な航空機メーカーと共同開発をしています。
- https://www.ihi.co.jp/
株式会社ディスコ
- 概要: 半導体切断・研削装置で世界トップシェアの企業です。
- 特徴: 精密加工技術で世界をリードしており、半導体産業の発展に貢献しています。高い収益性と技術革新力が強みです。
- https://www.disco.co.jp/jp/
株式会社日立建機
- 概要: 建設機械、鉱山機械などを製造・販売する大手企業です。
- 特徴: 油圧ショベルなどの建設機械で高い技術力を持ち、グローバルに事業を展開しています。ICTを活用した建設機械の効率化にも力を入れています。
- https://japan.hitachi-kenki.co.jp/
DMG森精機株式会社
- 概要: 工作機械の製造・販売を行う大手企業です。
- 特徴: 高度な工作機械技術を持ち、グローバルに事業を展開しています。
- https://www.dmgmori.co.jp/
機械の5年のチャート推移
日本取引所グループの業種別 機械業の5年チャートを見てみましょう。

2020年には、他のセクターと同じく急落をしましたが、コロナショックの回復に伴い、株価は上昇しました。
2022年に、ロシアとウクライナの戦争が始まると、エネルギー価格の高騰やサプライチェーンの混乱はありましたが、他のセクターと比べると防衛関連企業などが入っていることもあり、株価はそこまで落ちませんでした。
2023年から2024年までは、円安だったことや防衛費が増額される思惑などで、株価は大きく上昇しました。
2025年は、日本の利上げ姿勢や、やや買われすぎていたこともあり、軟調に推移しています。
まとめ
日本の機械セクターは、日本の防衛費が11年連続過去最大(前年度比約9%)の増加しているので、防衛関連企業などが含まれているので、世界的な紛争などがあったりしても、他のセクターより株価が落ちついていることが多いです。
最近の急上昇により、防衛関連や半導体関連の配当利回りが低くなってしまっているので、高配当株として買う意味は薄れてしまっています。
防衛関係や半導体関係以外の機械株は優良で利回りも高い状態が続いているので注目だと思います。
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