電気機器セクターは、家電製品、電子機器、電子部品など、電気・電子技術を主に活用した製品を扱うセクターです。
多様な製品が多く、一般家庭向けから産業用のものまで、幅広さがあります。
テクノロジーと大きく関わっている製品が多く、AIやIoTの技術進展の影響を大きく受けます。
電気機器セクターと、精密機器セクター金属製品セクターの違い
電気機器セクターと精密機器、金属製品セクターには以下の違いがあります。
特性 | 電気機器 | 精密機器 | 金属製品 |
---|---|---|---|
主な製品 | 家電、電子機器、電子部品 | 医療機器、時計、計測機器 | 鉄鋼、非鉄金属、金属加工品 |
技術特性 | 電気・電子技術が中心 | 高精度・微細加工技術が重要 | 金属加工技術が中心 |
市場動向 | スマート技術、再生可能エネルギー | 医療分野での需要増加 | 原材料価格変動の影響大 |
電気機器セクターにおける為替変動の影響
円高の影響
- 輸入コストの低下:海外からの部品や原材料の調達コストが低下し、エネルギーコストの軽減します。
- 海外展開企業の円換算利益減少:海外子会社の利益を円換算する際に減少します。
円安の影響
- 輸出競争力の向上:理論上は円安により輸出製品の価格競争力が高まるはずですが、実際の影響は限定的だと言われています。理由は、多くの電機メーカーが海外生産にシフトしているため、円安のメリットを十分に享受できないことだと言われています。
- 調達コストの上昇:海外からの部品や原材料の調達コストが上昇します。特に半導体などの重要部品の価格上昇が顕著です。
- 海外生産品の国内販売への影響:海外で生産された製品(例:ソニーのPS5)の国内販売が収益を圧迫します。
業界構造の変化
- 過去の円高により、多くの生産拠点が海外に移転しています。
- 為替変動の影響を受けにくい事業構造への転換が進んでいます。
- 海外売上比率が増加しています。
企業間の格差
- ソニー、パナソニック、村田製作所など、企業によって為替変動の影響の受け方に差がある
- 海外生産比率や販売地域の違いにより、為替変動の影響度が異なります。
日本の代表的な電気機器セクターの企業12社
ソニーグループ
- 概要:エレクトロニクス、ゲーム、エンターテインメント、金融など幅広い事業を展開する総合エンタテインメント企業です。
- 特徴:多様な事業ポートフォリオを持ち、グローバルに事業展開しています。
- https://www.sony.com/ja/SonyInfo/IR/
パナソニックホールディングス
- 概要: 家電、住宅設備、車載電池など幅広い製品を提供する総合エレクトロニクスメーカーです。
- 特徴: 高い技術力を持ち、多様な製品を提供しています。
- https://holdings.panasonic/jp/corporate/investors.html
日立製作所
- 概要: IT、エネルギー、インダストリー、モビリティ、ライフの5分野で事業を展開する総合電機メーカーです。
- 特徴: 社会インフラ事業に強みを持ち、グローバルに事業展開しています。
- https://www.hitachi.co.jp/
三菱電機
- 概要: FAシステム、産業メカトロニクス、エネルギー・社会システム、情報通信システム、電子デバイス、家庭電器の6つのセグメントで事業を展開する総合電機メーカーです。
- 特徴: 幅広い分野で高い技術力を持ち、安定した経営基盤を持っています。
- https://www.mitsubishielectric.co.jp/
キーエンス
- 概要: センサ、測定器、画像処理システムなどの開発・製造・販売を行うFA(ファクトリーオートメーション)用センサの大手企業です。
- 特徴: 高い利益率を誇り、FA分野で高いシェアを持っています。
- https://www.keyence.co.jp/company/
キヤノン
- 概要: カメラ、プリンター、複写機などのイメージング製品や、医療機器などを開発・製造・販売する大手精密機器メーカーです。
- 特徴: イメージング分野で高いブランド力を持っています。
- https://canon.jp/
ファナック
- 概要: FA(ファクトリーオートメーション)用CNC(数値制御)装置、サーボモータ、レーザ、ロボットなどを開発・製造・販売する大手FAメーカーです。
- 特徴: FA分野で高い技術力とシェアを持っています。
- https://www.fanuc.co.jp/ja/ir/
村田製作所
- 概要: 電子部品の開発・製造・販売を行う大手電子部品メーカーです。
- 特徴: セラミックコンデンサで世界トップシェアを持ち、高い技術力を持っています。
- https://www.murata.com/ja-jp/
日本電産(ニデック)
- 概要: 精密小型モータから大型モータまで、幅広いモータ製品を開発・製造・販売する大手モータメーカーです。現在はニデックと社名変更しています。
- 特徴: M&Aを積極的に行い、事業領域を拡大しています。
- https://www.nidec.com/jp/
京セラ
- 概要: セラミック部品、電子部品、通信機器、太陽光発電システムなどを開発・製造・販売する大手電子部品・機器メーカーです。
- 特徴: セラミック技術に強みを持ち、多角的な事業展開を行っています。
- https://www.kyocera.co.jp/
承知いたしました。アドバンテストと東京エレクトロンについて、概要と特徴を説明します。
アドバンテスト
- 概要: 半導体テストシステム(テスター)の世界的リーディングカンパニーです。 半導体デバイスの性能や品質を検査する装置を開発・製造・販売しています。
- 特徴: 半導体テスター分野で高い技術力とグローバルなシェアを持っています。特に、最先端の半導体デバイス向けのテスターに強みを持っています。
- https://www.advantest.com/ja/
東京エレクトロン
- 概要: 半導体製造装置およびフラットパネルディスプレイ(FPD)製造装置の大手メーカーです。半導体製造の前工程に必要な、さまざまな装置を開発・製造・販売しています。
- 特徴: 半導体製造装置分野で幅広い製品ラインナップを持ち、高い技術力を誇ります。特に、成膜装置、エッチング装置、塗布現像装置などの分野で高いシェアを持っています。グローバルに事業を展開し、世界の半導体メーカーに製品を提供しています。
- https://www.tel.co.jp/
電気機器の5年のチャート推移
日本取引所グループの業種別 電気機器業の5年チャートを見てみましょう。

2020年にコロナショックで、他のセクターと同様に急落しました。
その後世界のコロナからの回復や、経済緩和姿勢で回復しました。
巣篭もり需要として、家で過ごすときの家電製品の需要が増加したというのも理由の一つだと言われています。
2022年にはロシアとウクライナの戦争もあり、世界的なインフレ懸念も強まったため
一旦は急落しましたが、家電製品などの生活必需品を製造しているセクターであることや、
電気機器セクターの企業は、グローバルにサプライチェーンを構築していることが多かったこともあり、株価の落ち込みは限定的でした。
2023年から2025年までは、急激な円安で輸出企業が多い電気機器セクターには追い風になり、株価は大きく上昇しました。
電気機器セクターには、特定の分野で高いシェアを持つグローバルニッチトップ企業が多く存在すると言われていることもあり、他のセクターに比べ、株価はまた上昇しようとしています。
まとめ
電気機器セクターには158社が上場しており、これは「小売業」に次いで2番目に多い数字です。
電気機器セクターは東証一部の全時価総額の10.8%を占めています。これは「輸送用機器」に次ぐ第2位の割合です。
直近のセクターそのものの株価は、上昇傾向ですが、このセクターには、半導体製造装置メーカー、電子部品メーカー、家電メーカー、精密機器メーカーなど、幅広い分野の企業が含まれていることもあり、
半導体装置テスターのアドバンテスト(エヌビディアのGPU向けのテスト装置をほぼ独占的に供給している。)が大きく上昇していることや、ソニーが好決算で大きく株価を上げてはいますが、電気機器セクター全体の平均配当利回りは2.35%となっており、東証33業種中23位に位置しています。ですので3%以上の高配当株も存在しています。
- キヤノンの配当利回り3.13%
- 京セラの配当利回り3.01%
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