空運業株の特徴

日本株の33業種

空運業とは、海運と陸運と同じく、人(旅客)を運ぶ旅客輸送と、物(貨物)を運ぶ貨物輸送の2つに大きく分けられます。

空港運営も行っています。

  • 主要空港:一貫した運営(成田、関空、中部など)
  • その他:国や自治体が滑走路を運営、民間企業がターミナルビルを運営

日本の空運業は、日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)という大手2社が、市場をほぼ独占していることが特徴です。

以下の円グラフが上場している5社の、前日終値時点の時価総額の円グラフです。

図の通り大手2社が、90%以上の規模になっています。

空運業における為替変動の影響

円高の影響

円高は空運業にとって主にプラスの影響があります。

  1. 燃料費の削減: 航空機燃料の価格は主に米ドルに連動しているため、円高になると燃料調達コストが減少します。
  2. 機材調達コストの低下: 航空機価格も大半が米ドルに連動しているため、円高時には資産計上額や減価償却費が減少するメリットがあります。
  3. 外貨建て支出の減少: 海外での運航に関わる費用が相対的に安くなります。

円安の影響

一方、円安は空運業に主にマイナスの影響を与えます。

  1. 燃料費の増加: 円安になると、ドル建ての燃料費が円換算で高くなり、コストが増加します。
  2. 機材調達コストの上昇: 航空機の購入や維持費用が増加し、資産計上額や減価償却費も増加します。
  3. 外貨建て支出の増加: 海外での運航費用が全般的に高くなります。

業界の特徴

どちらかというと、燃料を多く使う業種のため、円高の方にメリットがあることがわかります。

日本の上場している空運企業5社

ANAホールディングス

  • 概要: 日本を代表する航空会社グループです。全日本空輸(ANA)を中核とし、国内外の旅客・貨物輸送事業を展開しています。
  • 特徴:国内線・国際線ともに幅広い路線ネットワークを持っています。LCC(格安航空会社)のピーチ・アビエーションを傘下に持ち、多様なニーズに対応しています。
  • https://www.ana.co.jp/group/

日本航空

  • 概要: ANAと並ぶ、日本の大手航空会社。国内外の旅客・貨物輸送事業を展開しています。
  • 特徴: 安全運航と定時運航を重視しています。また顧客サービスとブランドイメージの向上にも力を入れています。近年は、収益性の高い国際線に注力しています。
  • https://www.jal.com/ja/

スカイマーク

  • 概要: 日本の独立系航空会社。主に国内線を運航し、低価格運賃を特徴としています。
  • 特徴: コスト削減を徹底し、競争力のある運賃を提供しています。シンプルなサービスで、手軽な航空旅行を提供しています。特定の路線に集中して運航することで、効率性を高めています。
  • https://www.skymark.co.jp/ja/company/

スターフライヤー

  • 概要: 個性的なサービスを提供する航空会社。国内線を運航しています。
  • 特徴: 高品質なサービスと快適な空間を提供しています。黒を基調としたデザインが特徴です。顧客満足度を重視したサービスを展開しています。
  • https://www.starflyer.jp/starflyer/

アジア航測

  • 概要: 航空測量・空間情報サービスを提供する企業です。
  • 特徴: 航空機や人工衛星を用いた測量技術に強を持っています。地図作成、防災、環境調査など、幅広い分野で事業を展開。空間情報技術のリーディングカンパニーです。
  • https://www.ajiko.co.jp/

空運業セクターの5年間のチャート推移

日本取引所グループの業種別 空運業セクターの5年チャートを見てみましょう。

2020年のコロナショックの時には、旅行・観光業界全体が打撃を受け、空運業セクターの業績が悪化するとの懸念が強まり、国際線・国内線の運休や減便が相次ぎ、航空需要が激減した結果、大きく株価は急落しました。

その後も、ワクチンなどの普及や、世界各国の経済緩和姿勢もありましたが、円安の影響や、2022年にはロシアとウクライナの戦争でエネルギー価格の高騰があったため、

日経平均が大きく上昇したにもかかわらず、他のセクターと違い、コロナショック前の高値を超えられずにいます。

まとめ

空運業界は景気循環に強く影響を受けるセクターです。経済が好調な時期は旅行や物流の需要が増えますが、リセッションや不況時には需要が急減するリスクがあります。特に、2020年のコロナショックのような外部ショックは、航空需要に壊滅的な打撃を与える例です。

航空会社にとって燃料費は大きなコスト要因であり、原油価格の変動が業績に直接影響します。原油価格が上昇すると利益が圧迫される可能性があるため、為替レートやエネルギー市場の動向を注視することが重要です。

航空業界は政府の規制や政策に左右されやすいです。例えば、空港スロットの割り当て、環境規制(CO2排出削減目標)、補助金の有無などが業績に影響を与えます。

大手2社の前日終値時点の配当利回りは

  • ANAホールディングス: 1.86%
  • 日本航空: 3.13%

となっておりどちらも株主優待は、あるものの日本航空は3%を超えています。ですが日本航空は過去に無配の時期もあったので、注意が必要です。

原油価格は、落ち着きを見せていますが、円安の影響を受けやすいところと、関税の問題があるので、見通しの立てづらさがあると思います。

ですが、セクター分散のためには値動きの違う銘柄や業種を分散した方がいいので、業績を見極めて購入していきたいセクターです。

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