サービス業とは以下の業種が含まれるセクターです。
- 情報サービス業:システム開発、データ処理、情報提供サービスなど
- 人材サービス:人材派遣、就職支援、人材紹介など
- 広告・マーケティング:広告代理店、市場調査など
- コンサルティング:経営コンサルティング、IT コンサルティングなど
- 教育・学習支援:学習塾、語学学校、職業訓練施設など
- 娯楽・レジャー:テーマパーク、ゲームセンター、スポーツ施設など
- 宿泊・飲食サービス:ホテル、旅館、レストランチェーンなど
- 生活関連サービス:美容室、クリーニング店、冠婚葬祭サービスなど
- 福祉・介護サービス:介護施設、在宅介護サービスなど
- 専門サービス:法律事務所、会計事務所、設計事務所など
多様性があり、顧客のニーズに応じて様々なサービスを提供する企業が含まれており、新たな業態が生まれやすい分野でもあります。
サービス業の為替変動の影響
円高の影響
プラス面
- 輸入コスト削減: サービス業企業が海外から商品や原材料を調達している場合、円高によって調達コストが下がり、利益率が向上する可能性があります。例えば、ホテル業界や飲食業界では輸入食材のコスト削減が期待できます。
- 海外旅行需要増加: 円高により海外旅行が割安になるため、旅行会社や航空会社などのサービス業にプラスの影響があります。
マイナス面
- インバウンド需要減少: 円高により外国人観光客にとって日本旅行が割高に感じられるため、観光業や宿泊業の売上が減少する可能性があります。
- 輸出型サービスの競争力低下: 海外市場向けのサービス提供を行う企業は、円高によって価格競争力が低下し、収益が悪化する可能性があります。
円安の影響
プラス面
- インバウンド需要増加: 円安によって日本旅行が割安となり、訪日外国人観光客数が増加します。これにより、観光業や宿泊業、小売業などのサービスセクターが恩恵を受けます。
- 輸出型サービスの競争力向上: 海外市場向けサービスを提供する企業は、円安によって価格競争力が増し、収益拡大につながる可能性があります。
マイナス面
- 輸入コスト増加: サービス業で必要な原材料や商品を海外から調達している場合、円安によって仕入れコストが上昇し、利益率が圧迫されます。特に飲食業やホテル業では影響が顕著です。
- 国内消費低迷: 円安による物価上昇が消費者心理に悪影響を与え、小売業や飲食業などで消費低迷につながる可能性があります。
サービス業といっても幅が広いのでさらに細かく業種別の特徴を書きます。
円安に強い業種
- 観光業
- 円安により訪日外国人観光客が増加し、観光関連サービス(旅行代理店、観光施設運営など)が恩恵を受けます。
- 宿泊業
- 外国人観光客の増加に伴い、ホテルや旅館などの宿泊施設の需要が拡大します。
- 小売業
- 訪日外国人が免税品や日本製品を購入する需要が増え、小売業者が利益を享受します。
- 輸出型サービス
- 海外市場向けにサービスを提供する企業(例:ITアウトソーシングなど)は、円安で価格競争力が向上します。
円高に強い業種
- 外食産業
- 輸入食材のコストが下がり、利益率が改善します。
- 旅行業
- 円高により海外旅行が割安となり、国内から海外へ旅行する需要が増加します
- 輸入型サービス
- 海外からの商品やサービスを調達する企業は、円高で調達コストが低下し利益率が向上します。
日本を代表するサービス業企業9社
オリエンタルランド
- 概要: 東京ディズニーリゾートを運営。テーマパーク事業、ホテル事業を展開しています。
- 特徴: 高いブランド力とリピーター率を誇っていて、安定した収益基盤を持っています。
- https://www.olc.co.jp/ja/index.html
リクルートホールディングス
- 概要: 人材、販促、人材派遣など多岐にわたるサービスを展開しています。
- 特徴: グローバル展開、多角的な事業ポートフォリオを展開しています。デジタルマーケティングに強を持っています。
- https://recruit-holdings.com/ja/
エムスリー
- 概要: 医療従事者向け情報サイト「m3.com」を運営しています。医療情報提供、治験支援などを行っています。
- 特徴: 医師会員基盤、医療業界におけるデジタルプラットフォームに強みを持っています。
- https://corporate.m3.com/
セコム
- 概要: 総合セキュリティサービスを提供しています。法人・個人向けセキュリティ、防災、メディカルなどを展開しています。
- 特徴: 高いブランド信頼性、全国規模のネットワークを誇っています。
- https://www.secom.co.jp/corporate/?link=header
サイバーエージェント
- 概要: インターネット広告、ゲーム、メディア事業を展開しています。
- 特徴: デジタル広告の強み、AbemaTVなどのメディア事業を展開しています。
- https://www.cyberagent.co.jp/
楽天グループ
- 概要: ECサイト「楽天市場」を中心に、金融、通信、デジタルコンテンツなど多岐にわたるサービスを展開しています。
- 特徴: 楽天エコシステム、多角的なインターネットサービスを誇っています。
- https://corp.rakuten.co.jp/
電通グループ
- 概要: 広告代理店として、マーケティング、コミュニケーションサービスを提供しています。
- 特徴: 国内外に広範なネットワーク、多様な広告サービスを展開しています。
- https://www.group.dentsu.com/jp/
カカクコム
- 概要: 価格比較サイト「価格.com」、レストラン検索・予約サイト「食べログ」などを運営しています。
- 特徴: ユーザー参加型情報サイト、幅広いジャンルの情報提供に強みを持っています。
- https://corporate.kakaku.com/
パーソルホールディングス
- 概要: 人材派遣、人材紹介、アウトソーシングなど、総合人材サービスを提供。
- 特徴: 多様な人材サービス、国内外で事業展開。
- https://www.persol-group.co.jp/ir/
サービス業セクターの5年間のチャート推移
日本取引所グループの業種別 サービス業セクターの5年チャートを見てみましょう。

2020年にはコロナショックで、急落が見られます。これは2020年初頭に世界的なパンデミック(COVID-19)が発生し、経済活動が停滞した影響と考えられます。サービス業は特に外出制限や消費減少の影響を受けやすく、株価が大幅に下落したのでしょう。
2020年後半から2021年はパンデミック対策として各国が大規模な財政・金融支援を実施したことが背景にあり、株価は徐々に回復傾向にあります。特に2021年頃にはワクチン接種が開始され、経済再開の期待が高まった時期と一致します。サービス業も徐々に需要を取り戻し始め、株価が上昇した可能性があります。
2022年には急落しており、ウクライナ侵攻によるエネルギー価格高騰やサプライチェーンの混乱が世界経済に影響を与え、サービス業にもプレッシャーがかかった可能性があります。また、インフレ懸念から中央銀行が利上げを検討し始めた時期でもあり、投資家の慎重姿勢が反映されたかもしれません。
2022年後半から2025年までは株価は再び上昇トレンドに入ります。インフレ対策としての利上げが一巡し、経済の安定化が見込まれたことや、サービス業がリモートワークやデジタル化の恩恵を受けた可能性があります。また、日本国内ではインバウンド観光の回復や消費の持ち直しが寄与したかもしれません。円安による輸出関連企業の利益増大、またはサービス業における新たな成長分野(例:エンターテインメントやITサービス)の拡大が影響した可能性があります。
まとめ
サービス業セクターは業種が多岐にわたるため、配当利回りや成長性に大きな差があります。
- 観光・ホスピタリティ:インバウンド需要の回復で成長が見込まれる一方、為替変動や地政学リスク(例:米国のトランプ政権による貿易摩擦)が影響を与える可能性があります。
- ITサービス:デジタル化の恩恵を受け成長が期待されるものの、配当よりも成長投資を優先する企業が多い。
- 小売・メディア:消費者行動の変化(価格上昇の受け入れが進む中)により利益が安定し、配当余力が増加する可能性がある(Janus Henderson Investors, 2024年12月18日)。
製造業や公益事業の平均配当利回り(2-4%)と比べ、サービス業の平均(1-2%)は低い傾向にあります。これは優待の影響に加え、サービス業が景気変動に敏感で、利益の安定性が低いことが背景にあります。優待で顧客との関係を強化しつつ、配当を抑えてリスクを管理する戦略が取られているのです。
しかしサービス業に含まれる企業の幅が広いため高配当銘柄もあります。
例 前日終値での配当利回り
- パーソルホールディングス: 3.78%
- カカクコム: 3.03%
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