倉庫・運輸関連業株の特徴

日本株の33業種

倉庫運輸関連業とは、倉庫業務、物流センター運営、港湾運輸、総合物流など多様なサービスを提供する企業のことです。

陸運、海運、空運業は特定の輸送手段に特化しているのに対し、倉庫・運輸関連業は、複合的なサービスを提供し、より幅広い事業を展開しています。

一般的に、倉庫・運輸関連業は、国内売上が60~70%を占める企業が多いとされており

その面を見れば、ディフェンシブな面が強いとも言えます。

倉庫・運輸関連業の為替変動による影響

倉庫・運輸関連業は為替変動の影響を大きく受ける業種の一つです。円高と円安それぞれの影響を以下にまとめます。

円安の影響

  1. コスト増加:燃料費や光熱費が上昇し、業界全体の83.2%の企業がコスト増加を経験しています。原材料や設備の輸入コストが上昇し、経営を圧迫します。
  2. 価格転嫁の困難:全業種平均12%に対し、運輸・倉庫業では9.5%しか価格転嫁ができていません。「既存取引先の維持を考えると100%の転嫁は難しく、粗利益が圧迫されている」という声があります。
  3. 業績悪化:業界の83.2%の企業が円安により業績が悪化したと回答しています。

円高の影響

  1. 輸入コストの減少:燃料や資材の輸入コストが低下し、物流全体のコストが減少する可能性があります。
  2. 輸出関連物流の減少:日本からの輸出品が相対的に高くなり、輸出関連の物流取扱量が減少する可能性があります。
  3. 在庫管理の調整:輸入品のコスト低下により、在庫の増加が促進される可能性があります。
  4. サプライチェーンの最適化:コスト減少を活かし、より効率的な調達先や物流方法を検討する機会となります。

日本の上場している倉庫・運輸関連企業7社

三菱倉庫

  • 概要: 三菱グループの物流中核企業です。倉庫事業、港湾運送事業、国際輸送事業などを展開しています。
  • 特徴: 総合物流サービスを提供しています。歴史と実績のある安定した経営基盤があります。
  • https://www.mitsubishi-logistics.co.jp/

上組

  • 概要: 港湾運送、倉庫、陸上輸送などを展開する総合物流企業です。
  • 特徴: 港湾荷役で国内トップクラスの企業です。重量物、プラント輸送に強みを持っています。
  • https://www.kamigumi.co.jp/

住友倉庫

  • 概要: 住友グループの物流企業です。倉庫事業、港湾運送事業、国際輸送事業などを展開しています。
  • 特徴: 国内主要都市に物流拠点持ち、総合物流サービスを提供しています。不動産事業も展開しており、国内主要都市に物流拠点を持っています。
  • https://www.sumitomo-soko.co.jp/

三井倉庫ホールディングス

  • 概要: 三井グループの物流企業です。倉庫事業、港湾運送事業、国際輸送事業などを展開しています。
  • 特徴: 倉庫最大手で、総合物流サービスを提供しています。不動産事業も展開しています。
  • https://www.mitsui-soko.com/ir/

日新

  • 概要: 港湾運送、倉庫、国際輸送などを展開する物流企業です。
  • 特徴: 重量品輸送、プラント輸送に強みを持っています。物流コンサルティングも行っています。
  • https://www.nissin-tw.com/

日本トランスシティ

  • 概要: 港湾運送、倉庫、陸上輸送などを展開する物流企業です。
  • 特徴: 港湾荷役、倉庫事業に強みを持っています。中部地区最大の規模を誇っています。
  • https://www.trancy.co.jp/

安田倉庫

  • 概要: 倉庫事業、港湾運送事業、国際輸送事業などを展開する物流企業です。
  • 特徴: 倉庫事業に強みを持っています。外資系とのつながりが強いです。不動産事業も展開しています。
  • https://www.yasuda-soko.co.jp/

倉庫・運輸関連業セクターの5年間のチャート推移

日本取引所グループの業種別 倉庫・運輸関連業セクターの5年チャートを見てみましょう。

2020年のコロナショック時には、他のセクターと同様に株価は急落しました。

しかし、巣篭もり需要での、eコマースの利用拡大が倉庫・運輸関連業セクターの追い風となり、株価は急落から回復しました。

2022年までは細かな株価の上下動はありますが、世界の経済緩和姿勢とともに株価は、じわじわ上昇しています。

2022年にロシアとウクライナの戦争が起こり、株価は一時急落したものの、

この混乱に対応するため、企業は在庫の積み増しや輸送ルートの見直しなどを迫られました。

倉庫・運輸関連業セクターは、こうした企業のニーズに応えることで、需要を維持・拡大することができたため、株価の落ち込みは一時的でした。

2023年から2025年までは、倉庫・運輸関連業は、eコマースの持続的な成長、アジア太平洋地域の貿易拡大、または日本国内での物流需要の増加(例えば、インバウンド観光の回復や製造業の復活)で恩恵を受けたと考えられ、株価は長い間上昇基調です。

まとめ

倉庫・運輸業はeコマースの成長(Amazonや楽天など)によって恩恵を受けてきました。

ですが、逆に考えるとeコマース需要の鈍化や競争の激化(値下げ圧力)により、利益率が圧迫される可能性があります。

人件費の上昇も利益を圧迫すると言われており、AI、自動化倉庫、ロボティクス、ドローン配送などの導入での、効率化やコスト削減が期待されています。

配当利回りは、セクターそのものの株価はずっと上昇を続けているため

全体的に利回りが低くなってしまっています。

※前日終値での配当利回り

三井倉庫ホールディングス 1.87%

安田倉庫 1.60%

三菱倉庫 2.25%

ですが10年単位で見たら、減配がない企業も多いので、株価が少し落ち着いて3%

を超えてくるような時期があれば、配当性向や決算を確認して、購入したいセクターです。

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