日本の会社といったら思い浮かぶ自動車企業が含まれるのが、輸送用機器セクターです。
特にトヨタは世界でも、シェア率12.4%を誇っています。
海外販売比率も高く、大手メーカーの約8割が海外販売となっています。
輸送用機器における為替変動の影響
円高の影響
- 輸出競争力の低下: 円高により、日本の輸送用機器の海外での価格競争力が低下します。
- 利益の減少: 2024年9月の中間決算では、円高の影響で輸送用機器セクターの利益が前年同期比で約30%減少しました。
- 海外収益の目減り: 円高は海外で稼いだ利益を円換算した際に目減りさせ、業績を下押しします。
円安の影響
- 輸出競争力の向上: 円安は日本の輸送用機器メーカーの輸出価格競争力を改善します。
- 収益の増加: 2013年度9月期には、急激な円安により日本の輸送用機器メーカーが大幅に売り上げを伸ばし、好決算となりました。
- 輸出金額の増加: 円安により、輸送用機器の輸出金額が増加する傾向があります。
具体的な為替変動に対する対策
- 為替感応度の変化:1990年から2010年にかけては、円高により輸出が大きく減少していましたが、2010年以降は為替レートの変動に対する感応度が低下しています。特に、商用車の輸出は2010年以降、為替レートの変動にほとんど反応しなくなりました。
- 価格設定戦略の変更:2012年以降の円安期に、輸送機器輸出企業は市場別価格設定(Pricing-to-Market: PTM)戦略を採用しました。これにより、輸入国通貨建ての価格をほぼ一定に維持し、輸出量を増やすのではなく利益率を向上させる方針を取りました。
- グローバル生産体制の強化:為替変動が企業業績に与える影響を軽減するため、現地生産・現地販売の体制を他の業種と比べてより積極的に進めています。これにより、為替変動リスクを分散し、企業業績の安定化を図っています。
日本の代表的な輸送用機器企業10社
トヨタ自動車
- 概要: 世界最大級の自動車メーカーです。自動車の製造・販売を中心に、金融事業や住宅事業も展開してきています。未来都市構想「ウーブン・シティ」に取り組もうとしています。
- 特徴: 高い技術力と生産効率を持ちグローバルな販売を持っています。多様な燃料に対応できるようなエンジン技術開発を進めています。
- https://global.toyota/jp/
ホンダ
- 概要: 自動車、二輪車、パワープロダクツ(汎用製品)を製造・販売しています。「シビック」「フィット」などの自動車や、「スーパーカブ」などの二輪車が有名です。
- 特徴: 独創的な技術力を持っており、二輪車と自動車の両方を手がけています。こちらもグローバルな事業展開をしています。
- https://global.honda/jp/?from=navi_header_www
デンソー
- 概要: 自動車部品のメーカーです。自動車の電子部品やシステム部品などを製造・販売しています。トヨタグループの一員です。
- 特徴: 高い技術力と開発力を持っており、幅広い製品ラインナップも持っています。グローバルに事業展開しています。
- https://www.denso.com/jp/ja/
スズキ
- 概要: 小型車と二輪車を主力とする自動車メーカーであり、インド市場で高いシェアを持っています。「スイフト」や「ジムニー」などの自動車や、「ハヤブサ」などの二輪車が有名です。
- 特徴: 小型車と二輪車に強みがあり、インド市場での高いシェアを持っています。独自の開発力も持っています。
- https://www.suzuki.co.jp/
SUBARU
- 概要: 独自の水平対向エンジンとAWD(全輪駆動)技術が特徴で、「レガシィ」や「インプレッサ」などの自動車が有名です。
- 特徴: 独自の技術力と走行性能であり、安全性能へのこだわりを持っています。北米で大きな人気があります。
- https://www.subaru.co.jp/
日産自動車
- 概要: 「スカイライン」や「GT-R」などの自動車が有名です。電気自動車「リーフ」をいち早く発売しました。
- 特徴: 幅広い車種ラインアップがあり、電気自動車技術に強みを持っています。グローバルに生産販売のネットワークを持っています。
- https://www.nissan-global.com/JP/
いすゞ自動車
- 概要: 商用車メーカーです。トラック、バス、ディーゼルエンジンなどを製造・販売しています。ディーゼルエンジン技術に強みを持っています。
- 特徴: 高い耐久性と信頼性を持っており、グローバルに事業展開しています。
- https://www.isuzu.co.jp/
ヤマハ発動機
- 概要: 二輪車、マリン製品、レクリエーション製品などを製造・販売しています。「YZF-R1」などの二輪車や、船外機などが有名です。
- 特徴: 二輪車とマリン製品に強みを持っており、高い技術力と開発力があります。こちらもグローバルに事業展開しています。
- https://global.yamaha-motor.com/jp/
マツダ
- 概要: 独自の技術を追求する自動車メーカー。「スカイアクティブ技術」やデザイン性の高い「魂動デザイン」が特徴です。「ロードスター」、「CXシリーズ」などが有名です。
- 特徴: 独自の技術力とデザイン性を追求しており、走行性能へのこだわりがあります。こちらもグローバルに事業展開しています。
- https://www.mazda.com/ja/
三菱自動車
- 概要: SUVやピックアップトラックに強みを持つ自動車メーカーです。電動車技術の開発にも注力しています。「アウトランダー」、「デリカ」などが有名です。
- 特徴: SUV、ピックアップトラックに強みを持っており、電動車技術も開発しています。グローバルな事業展開をしています。
- https://www.mitsubishi-motors.com/jp/
輸送用機器の5年のチャート推移
日本取引所グループの業種別 輸送用機器業の5年チャートを見てみましょう。
2020年にコロナショックで他のセクターと同じく、急落しました。
そこから世界経済が回復するに従って、じわじわと上昇を2022年になるまで続け
2022年に、エネルギー価格の高騰や日本以外の世界のインフレ対策による、利上げなどにより
株価は一年近く横ばいでした。
2024年には、円安が過度に進んだこともあり大きく株価を上げましたが、2025年にはトランプ政権になったことによる、見通しの立てづらさや、日銀の利上げ姿勢により株価は軟調になっています。
まとめ
輸送用機器企業は日本の全製造業の中心であり、商品出荷額の約2割を占めています。
海外売り上げが高く、為替変動に弱い部分があり、景気敏感業種といえます。
昨今は中国のEV自動車が大きく台頭しており、日本の輸送用機器メーカーも大きな改革を求められています。
トランプ政権になり、25%の関税がかかるかもしれないという情報が出ており、本当に関税がかかるかはわかりませんが、株価は上げづらい状況が続くと思われます。
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